こんにちは。
はなアンニャー(@hanadeso3)です。
これでも、薬剤師なのですが、医療分野は昔から興味があってやりたい仕事のひとつでした。
きっかけは、親戚のおじさんが当時はなんのことかわからない難病で、若くして亡くなったことでした。
それから、おばあちゃんが寝たきりになって、何度も生死のハザマをさまよっていたのも見ているだけなのが、悔しくて。
与論島を知ってからは、がぜん!離島医療というものに興味を持つようになっていくことになります。
今回は、与論島独特の医療について書きました。
与論島が『魂の島』と呼ばれるゆえんです。
目次
南の島の与論島の医療の現実
与論島に移住する前は、こんな小さな島には大きな病院はなくて、あっても診療所くらいだろう・・・と思いこんで移住しました。
ところが、この与論島という島、地方移住の際、心配される医療と教育に関して、かなり充実していることに、住んでみて初めて知り、とてもビックリしました。
大きな総合病院もあれば、診療所も2つあります(そのうちひとつは、2020年12月で閉院されましたが・・・)。歯医者さんも、今では2軒あります。
老人施設も特老、老健どちらもありますし、グループホームもあります。
島の規模の割に老人施設が多いのですが、高齢化社会が進みすぎているため、不足しているのが現状です。
わたしも、10年間、病院で働いていたので、島の医療の現状はわかってるつもりです。
確かに、足らないものはたくさんあって、いろいろと困ることもあります。
でも、沖縄や鹿児島の大きな病院ともきちんと連携がとれているので、与論島で手におえない場合は、ドクターヘリなどで搬送可能です。
これは、わたしが最初に勤めた山口の病院でも同じだったので、まぁそんなものかな?といった感じで見ていますが、都会から来られた方や子どものいるお母さんは不安になるかもしれません。
それでも、この10年間のあいだに、紙カルテから電子カルテに変わったし、MRIの機械も新しくなったし、着々と進化しています。
そして、島の医療現場には、島外から移住してきたひとがたくさんいます。
医療従事者は、離島とか好きな人多いですよね~。なぜか・・・旅先でもよく同業者に出会います。
わたしも独身だったら、リゾート薬剤師やりたかったです。
旅をしながら、離島巡りしたかったなー。
子どもが大きくなったら、やろうかな?
現実的には、都会とくらべるとお医者さんも少なく、足りていない医療業種もあります、正直、医療レベルはそんなに高くはないです。
ですが、ここが離島だということを考えると、沖縄も近いし、他の島よりは便利がいいのは間違いないです。
与論島には霊安室は存在しない理由
わたしは、与論島の病院で働き始めたとき、知らないおばあちゃんに、
「地下に行く階段はどこですか?」
と聞かれたことがあるんですが、与論島の病院には地下はありません。
おばあちゃんは、霊安室を探していたようです。
じつは、地下室のことについて聞かれたの初めてじゃなくて、与論島に来る前に働いていた山口県の病院でも同じこと聞かれたことがあります。
その病院にも地下はなかったんですが、霊安室はちゃんとありました。
しかし、与論島の病院には霊安室というものはないのです。
与論島の病院が、霊安室を作るのを忘れた!?
のではなくて、最初から必要なかったから作ってないんです。
与論島のひとはほとんどのひとが自分のおうちで亡くなるのが昔から当たり前でした。
もうそろそろ最期だなという状態になると、息があるうちに病院から自宅に運ばれます。お医者さんと看護師さんも一緒もついてきてくれます。
おうちでは、家族が布団などを準備をして待っています。
だから、霊安室がないんです。必要がないからです。
与論島では、ひとの魂は亡くなった場所に残ると考えられているそうです。
だから、最期は病院ではなく、自宅で迎える必要があるのです。
これが、与論島独特の死生観です。
わたしは、この考え方、すごく好きです。与論島に興味を持った理由のひとつでもあります。
与論島のひとは、最期は自宅で看取る
何年か前に、山口の実家のおばあちゃんが亡くなったのですが、認知症を発症してからずっと何年も老人ホームで暮らしていて、たまにしか我が家には帰ってこれない状態でした。
90歳のとき、老人ホームで体調を崩してからそのまま病院に運ばれて、最後はその病院で亡くなりました。
それが普通のことで、90歳も生きたら大往生だね、幸せだねとみんな言ってくれて、わたしもそれで納得できていました。
でも、最期を自宅で迎えることが当たり前の与論島で暮らしていたわたしは、なんだかとても複雑な気分になってしまいました。
うちのおばーちゃんも最期、ちょっとでも息があるうちに我が家に帰りたかったろーなぁ、遠く離れた病院でさみしかったじゃろーなぁ・・・と。
わたしは、おばーちゃん大好きっ子だったので、思い出すと泣きそうになります・・・・。
与論島に移住するのを報告するのがいちばん言いにくかったのは、おばーちゃんでした。
あーいかん、またもや離島医療にせまらないで、内容が『ばーちゃんとの青春の日々』に変わってしまう・・・。
与論島の人の最期は、家に帰る、という風習はとても素敵です。わたしは、ここ与論島好きポイントです。
与論病院て、研修医の先生がやたら多い気もするんですが、こういうときにゆっくり家まで来てくれて、最期を看取るためには人数がいないとできません。
家族は、まだ患者さんが病院にいるときに、もうそろそろだとお医者さんに言われると、まず家の片づけをしてお迎えの準備をしておきます。
それから、家に連れて行くので、家族も心も家も準備はできています。
何年か前、だんなさんのおじーちゃんが亡くなったときの話ですが、わたしも家に帰るのを一緒にさせてもらったことがあります。
もうそろそろだなってなって、おうちに帰ったあと、何時間かして呼吸が止まったからと病院に連絡がありました。(わたしはその日、病院で仕事してました)
わたしは、それまで一度も与論島のひとの最期のときに立ちあったことがなかったのですが、だんなさんのおじーちゃんということで、特別に?お医者さんと看護師さんが死亡確認に行くのに連れていってもらいました。
あれは、とってもよく晴れた初夏の日でした。
自分のおうちで眠るように亡くなったおじーちゃん。息が苦しいのに全然来苦しそうに見えず、とても穏やかな顔でした。
家族みんなで迎える最期。
悲しみというより、なんだか泣き笑い混ざってる雰囲気でした。涙も出るけど、ほっとしたような安心感。家族も準備できてるから落ち着いて最期を迎えられるのです。
病院で亡くなるのとは全然ちがう不思議な感覚だったのをおぼえています。
すごい静か、なんかものすごい静かでした。この静かさが病院とは違います。病院だと、まわりの声や機械の声がやたらうるさいです。
音の鳴る器械は何もついていない、自然な状態です。
そこには、病院の機械の音も足音も他人の話し声もない、家族だけの時間が流れていました。
みんながみんな、こんなおだやかではないかもしれませんが、
これが、与論島の当たり前な風景です。
初めての体験で、頭がぼーっとなりましたが、いい経験をさせてもらいました。
最期まで家にいる・・・・こんな当たり前のことも難しくなっている世の中で、こうやって穏やかに最期を迎えられる与論島が好きです。
いつまでも、こんな与論島であってほしいな。
と、しみじみと感じた体験でした。
医療費削減のためでしょうが、在宅医療がすすめられている今日この頃です。それには、いろいろ問題点や課題があるのもわかります。
正直、共働き家庭で在宅医療は無理でしかないのに、それを進めようとする矛盾には腹が立ちます。
だけど、与論島のように最期だけでも自宅で過ごせたら、幸せなんじゃないかなぁ・・・・。
与論島に来てくれている小児科の先生のお話
与論島には常駐の小児科の先生はいません。
関東のほうから月に1回、与論島に来てくださる小児科の先生がいます。
この先生が、与論島の病院に霊安室がない理由を詳しく書かれています。
わたしには、ちゃんと説明できるスキルがないので、もっと詳しく知りたいひとは、辰巳先生の記事を参考にしてますので、ぜひご覧ください。
注射がとっても上手な先生なので、子どもの予防注射のときは、この先生のいるときに行くようにしていました。
今でこそ、病院にはほとんどかかっていませんが、昔々、息子が未熟児で生まれた際には、いろいろと相談にのってもらったりして、とても助かりました。
与論島は早産で生まれる赤ちゃんがけっこういるようなので、常駐の小児科医の先生がいてくれるとありがたいですね。
与論島の死生観と祖先崇拝
与論島では、与論神道による祖先崇拝の強い信仰があります。
与論島では、生と死がつながっていると言われています。
与論島で、在宅死が当たり前なのは、この与論神道に基づくもののようです。
家で亡くならないと、魂がさまようのだそうです。
これが与論島で実現できているのは、
地縁、血縁が強いため、介護での協力が得られやすいこと、元々島が小さくてせまいので、緊急時にも医師が駆けつけやすいという環境が整っているからともいえます。
ですが、最近は昔にくらべると、最期、家で過ごす時間が短くなっているのも事実のようです。
迎える家族も、島外にしかいなかったり、ずっと見ていられなかったりと、与論島でも時代の変化によって変わってきているのが、さみしいけど現実です。
変わってしまうことはしかたがない・・・・それぞれの生き方があります。
自分も山口県から飛び出てきた人間ですから。本当なら、親の近くにいてほしいと言われたこともあります。
与論島は本当に、ご先祖さまや親を大事にする島です。
お墓参りもきちんとされてますし、ご先祖様を供養する儀式も何度もあります。
自分の実家では、ほんとにここまではしていなかったので、驚いています。
ちょっとめんどくさいときもありますが、ご先祖様を大切にする風習はとてもすばらしいです。
ご先祖様や親があっての、自分です。
目に見えるひと同士も、かなりつながりが強い島ですが、昔から続くつながりもとても強いのが与論島なのです。
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キリッ キリッ キィリ
明日 島に行きます。1Fで血圧計りながら
地下室をさがします❗️あんにゃーには
決して訊ねません 地下室へ下りるかいだんを
地下に行く階段みつけたら教えてくださいね✨